不眠症2(ラジオ小松・4月放送収録・漢方薬生薬認定薬剤師のコラム)

後半の内容は、「不眠Ⅱ
不眠の定義「満足すべき睡眠がとれない事」です。ですから、睡眠時間が短い人でも、本人が満足していれば不眠ではありません。反対に、はた目からは、夜、「グーグー」といびきをかいて寝ているようでも、本人が、眠っていないと自覚すれば、不眠になります。漢方では、不眠と関係のある臓に、心と言う臓器がそれに当たります。心は、火の臓と呼ばれ最もエネルギーが多い所です。また、心は、神明をつかさどると言われ、意識や精神を担当する臓とも言われています。不眠は、この、神明が乱れる為に発生します。心神が乱れる原因は、火邪により、心の機能が阻滞され眠れなくなります。火邪で多いものに、肝火があります。
1)肝火 イライラタイプ
精神的ストレス・怒りなどで、気の流れが悪くなり、気が停滞しこれが熱に変わり、上の方にのぼって心神(脳)を乱す為に眠れなくなります。
症状;あれこれ考えて、イライラして眠れず、夢を良く見て朝早く起きてしまう。その他、目の充血、頭痛。耳鳴り(キーンと高い音)、胸が張って苦しい舌の横が赤い。怒りっぽい、ヒステリックな反応が特徴です。
漢方薬;気の流れを良くし熱を清め心神を安定させる竜胆瀉肝湯を用います。
イライラして眠れない人には、亜鉛の多い海の牡蠣がお勧めです。
このタイプは、甘いもの、脂っこいものやお酒の摂り過ぎは注意しましょう。
お酒について、寝る前の「飲酒」でよく寝れるようになるというのは、ある意味では事実です。しかし、摂取されたアルコールが体で分解されるときに交感神経が刺激され、結果的には睡眠をジャマされることになります。
飲んで寝た後、深夜に突然目を覚ましてしまうのはそのためです。次に多いのが
2)痰火タイプ
飲食の不摂生、飲酒癖等で、胃腸に水分が停滞し、これがずっと溜まっているうちに、ストレスなどの熱が加わり水がベターとした痰と言う邪に変わり、これが上の方に昇って心神を乱す為に不眠が生ずる病態です。
症状)イライラして寝つきが悪い、夜中に驚いて目を覚ます、夢を良く見る、口が苦い、吐き気、痰が多い、黄色くベターと舌苔が見られるのが特徴です。
注意する事は)夜食や夕食の食べ過ぎです。
就寝前に食事をすると、体が胃の消化活動に集中し始めます。
そうなると、寝ていても体は睡眠モードではないため、結果的に寝つきが悪くなってしまいます。そうならないためには、できれば就寝の3時間前までには食事を終えることが理想的。胃の消化が終えた後であれば、体は睡眠に集中できるため、より深く眠りに入ることができます。
脳を興奮させる、カフェインの摂りすぎも気をつけましょう。
■コーヒー、緑茶を飲む
「眠気覚ましのコーヒー」というほど、コーヒーに含まれる「カフェイン」には覚醒作用があり、睡眠ホルモン「メラトニン」を強力に抑制してしまいます。さらに、カフェインは摂取してから4時間ほど持続効果があるかなりの厄介者。
カフェインは、コーヒーだけでなく、緑茶、紅茶、ウーロン茶、ジャスミン茶などにも多く含まれています。夜寝る前の「飲み物」には十分注意しないといけません。