春に多いめまい後半(3月ラジオ小松放送収録)

だんだん暖かくなると、陽気が高まり植物では芽が、上の方に伸びるようになります。人間の体も、春の陽気は気を上の方に押し上げるので、のぼせやめまいや頭痛が多く見られる季節になります。
目まいにもいろいろ症状があり、例えば、ぐるぐる目が回るめまいや、身体がフワフワ浮いているような目まい、立ち上がった時にクラっとする立ちくらみなどがあります。
めまいは、いろんな病気が隠れている場合があるので、まずは、医療機関で診てもらい原因がわからない時は、漢方薬をお試しください。
今回は、加齢とともに多くなりなかなか治りにくい虚のめまいについてお話しいたします。
お年寄りで、足腰が弱くちょこちょことしか歩けない人をよく見かけます。
漢方のことわざに『腎は精を蔵し、精は髄を生じ、髄は骨を養っている。また、髄は頭に集まって脳になる。」とあります。
ですから、精が充分あれば、目や耳の働きもしっかりして、めまいふらつきは起こりません。
また、精が脳に届かないと、物忘れがひどくなってきます。
1) 肝腎陰虚タイプ(潤い物質不足のタイプです)
若い時から、過労が続いたり、寝不足が続くと身体の元になる物質・・いわゆる精が少なくなってきます。そうなると、身体に大切な潤い=陰液が不足してきます。陰液は身体の臓器に栄養を与えますが、特に肝と腎が潤い不足になってきます。
潤いが不足する為、咽が乾いたり、目が乾燥したり、その他、相対的にエネルギーが余り、陽(気)が上昇する病態になってきます。
症状として
陽気が上がって、頭がふらつき、頭痛や耳鳴り、顔面の紅潮、口が苦いといった症状が現れます。
その他、足腰に力が入らない、夜に眠ろうと床に入ると足がほてって眠れないなどの症状を伴います。
舌は深い紅色になり、苔は少ないか剥(は)げてしまいます。
漢方薬として
腎の陰液を補う「六味丸類」を中心に
気の流れをスムースにする「柴胡加龍骨牡蛎湯」をあわせて使用
陰液を補い身体を潤し、めまいを改善します。
2)気血の不足から来るめまい
元々胃腸が弱い人や、慢性病を持っている人や過労などで、気が不足し、脳を養えなくなった病態にあたります。重力に抵抗して血液を上部にあげる力が不足している為にめまいやぬらつきが発生する病態です。
(症状として)
つよいめまいは少なく、立ちくらみや何か動作をしたらふらつくと言うめまいが主体です。
特に、疲れたり無理をしたりすると顕著に表れるのが特徴です。
顔色がいつも冴えない感じがして、皮膚や毛髪につやがない人で、常に疲れやすい、身体がだるい等の症状と共に、胃腸が弱く内臓下垂の人が多いようです。
(漢方薬)
気力を高め、元気をつけ筋肉の力をつけ頭部への循環を改善する補中益気湯を用います。
エネルギーが少ない人は、身体を冷やすバナナとか南方の果物の摂りすぎには注意して下さい。苦い飲み物でコーヒーも控えましょう。
椎茸、ぎんなん、なつめは進んで食べるようにして下さい。
間食は、こめ飴(おこし飴)が胃腸にもいいし、疲れにもいいのでお勧めします。
めまいは、なにしろ目を休める事が基本です。気持ちをゆっくりとして仕事や家事をすること大事です。早く、きれいに完璧にと思っていると脳が興奮し返ってめまいの原因を作ってしまいます。
ラジオ小松ハ水曜日昼12時より、ラジオ金沢・七尾・小松は金曜日、14時~再放送です。